美しさとは何でしょうか。
整った姿形でしょうか。
それとも新しいものや、傷ひとつない状態でしょうか。
もちろん、それらは美しさの一つだと思います。
しかし、「何が美しいのか」を一般論として断言することはできません。
ただ、ひとつだけ私が確信していることがあります。
メンテナンスされているものは、美しいということです。
どんな形をしていてもいい。
傷があっても、苔むしていても、どれだけ年季が入っていてもいい。
大切に手入れされ、維持されているものには、不思議と人を惹きつける美しさがあります。
例えば、向かいに住むおばあちゃんは、毎朝欠かさず家の前を掃き掃除しているのですが、玄関先のコンクリートは決して新しくありません。
おそらく竣工から40年以上は経年しているはずで、 少し黒ずみがあって、ところどころに細いヒビもあります。それでも、そこには落ち葉ひとつなく、埃ひとつない。
何年も毎日積み重ねられた手入れの跡が、その土間を、新築にはない美しさへと変えているように感じます。
新品だから美しいのではなく、時間をかけて向き合われてきたから美しい。
私は、そういう美しさに惹かれます。
なんでもすぐに買い替えられる時代だからこそ、ひとつのものを手入れしながら長く使うという営みには、大きな価値があるように思います。
手をかけ続けた道具は、自分の手に馴染みます。
使い込まれた革や木が、その人だけの表情を持つように、自分とともに時間を重ねたものは、唯一無二の存在になっていきます。
美容も、きっと同じなのではないかと思います。
気になる部分を”交換する”という発想だけが、美しさへの近道ではないと思うのです。
毎日の食事を整えること。身体を動かすこと。
湯船に浸かり、しっかり眠ること。
肌をいたわり、髪を整え、自分自身を少しずつ手入れしていくこと。
それは何かを付け足す行為ではなく、削ることでもなく、自分という存在を丁寧にメンテナンスすることなのだと思います。
もちろん、美しさの選択は人それぞれです。美容整形を否定したいわけではありません。
ただ私たちは、自分を大切に扱い時間をかけて育てていくという美しさも、同じくらい尊いと信じています。
毎日の積み重ねは、すぐには結果にならないかもしれません。
それでも、その積み重ねは必ず、その人だけの美しさになっていく。
Vintryは、そんな日々の営みに、そっと寄り添えるブランドでありたいと思っています。
Writer Yuto Handa