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Vintry Multi Balm N°3 & N°4 November 15 New release now

Vol.03「香りと映画についての話をしよう」

Vol.03「香りと映画についての話をしよう」

本当に良い映画は、香りまでしてくると思っているのは私だけだろうか。
記憶に残るような印象的な映画鑑賞体験をした時、スクリーンの中の物語に本当に立ち会っているかのような没入感を得た時、その世界に漂う香りまで感じとれたように錯覚したことが幾度かある。

その逆もまた然り。良い香りを嗅いだ時に脳裏におぼろげな情景が浮かんでくることがある。その情景は、思い出深い旅路で出会った風景であったりと、その人の過去の体験に紐づいていることがほとんどだけれど、時たま実際に出会ったこともないはずの景色が浮かんできたりもする。記憶を探ると、それがいつか映画で観たワンシーンだったりする。



Vintryのパッケージデザインには、実は映画のワンシーン”のような”風景がモチーフとして扱われている。

Vintryのリブランディングをするにあたり、今後様々な展開を目指していくブランドにおいて果たしてどんなデザインを根幹のテーマとして掲げるのが良いのか話し合っていく中で、「映画のワンシーンのような魅力的な情景が浮かぶ、そんな情景を身近に感じられるようなデザイン」を目指していくのでは良いのではないか?という結論に至ったのである。そのテーマに基づき、各プロダクトには毎回必ずその商品から想起されるシーンをデザイナーが描きおこすことにしている。


商品ごとに描かれるシーンはあくまでオリジナルの情景だが、今回は(ほんの少しばかり)映画が好きな自分が、勝手にVintryの各プロダクトの香りから想起させられた映画のシーンをさくっと紹介していこうと思う。

『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001)』
どの作品のどのシーンを切り取ってもウェスアンダーソンの映画のその丹精な構図は常に魅力的だけど、とりわけこの映画の部屋の中に張った黄色のテントの中で向かい合う姉弟のシーンはとても印象的だ。N°1のふんわりと甘い香りから、私はこのシーンを思い浮かべた。


『サイダー・ハウス・ルール(1999)』
N°2のほのかに感じる柑橘類の爽やかな香りを嗅ぐと、私はいつもこの映画のドライブデートのシーンを思い返す。果実農園が舞台に出てくる物語なので、短絡的な結びつけかと思われても仕方がないが、切なく瑞々しいこの映画の中で、このシーンはとりわけ香り豊かだった。

『ポビーとディンガン(2005)』
正直に話すと、N°3の香りから具体的なシーンはパッとは思い浮かばなかった。でも可憐な少女の姿をふと思い出した。それがこの映画のヒロインだった。優しさに満ちた物語だ。

『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ(2012)』
どこか哀愁を感じさせるN°4を使うとき、私の脳内ではBon Iverの曲が再生される。この映画の(最後の)主人公がバイクにまたがり秋の田舎道を走り去っていく、背中が遠のき見えなくなるエンディングシーンで流れ出す曲だ。この映画を観終えた時と同じように、静かに深く考えさせられるような落ち着いた気持ちにこの香りはしてくれる。



みんなにもそれぞれ思い浮かぶシーンがあるはずだ。それがどんなものなのかぜひ聞いてみたい。きっとそれは人によって全く違うだろうから、その差異を知ることはきっと楽しいだろうし、一方でもし仮に完全に合致する人になんて出逢えたらそれはもう運命かもしれない。

香りと映画の連想ゲーム、みなさんもぜひお試しあれ。

Writer: Makoto Kobayashi