学生時代から、デザイン書やアートブックを扱う本屋によく通っていました。
中でも好きだったのが、海外から輸入されたアートブック。ページをめくったときにふわっと感じる、紙とインクの独特な香りが好きでした。
本好きの友人と本屋へ行き、それぞれ気になる本を手に取って眺めながら、内容はもちろん、装丁の美しさや紙の選び方、特殊なインクや加工についてあれこれ話すのが定番のおでかけコースでした。
そして気に入った本を買って家に帰ると、改めてページを開き、本に顔を近づけて紙とインクの香りをじっくり味わいます。
文字にすると少し変な習慣のようですが、私にとってはこれも新しい本を手に入れたときの楽しみになっています。
紙の手触り、ページをめくる音、そして紙とインクの香り。
こうして振り返ってみると、私は本のデザインを目で見るだけではなく、いろいろな感覚で受け取っていたのだと思います。
仕事で印刷物をつくるとき、色や文字、紙、印刷方法、加工など、完成形を想像しながらいろいろなものを選んでいきます。
けれど、刷り上がった印刷物がどんな香りになるのかまで、デザイナーが意図して設計することはほとんどありません。
新しく刷り上がった印刷物を手にしたときに感じる紙とインクの香りも、私にとっては印刷物を好きな理由のひとつなのかもしれません。
Writer: Maaya
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